中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)

中枢神経系(脳)リンパ腫の治療

脳のみに病変ができるリンパ腫を原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)といい、ほとんどがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)です。PCNSLでは通常のDLBCLとは違った治療が必要で、MTX大量療法を中心とする化学療法や放射線治療が行われます。近々、PCNSLに対して有効な自家移植の前処置薬やBTK阻害薬が治療選択肢に加わることが期待されています。講演ではPCNSLの標準治療と新薬の役割について紹介します。

講演者

伊豆津 宏二 先生

国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科長
東京大学医学部附属病院、NTT東日本関東病院、虎の門病院を経て、2017年より国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科で血液がんの薬物療法を担当しています。血液がんの中でも、リンパ腫、慢性リンパ性白血病などのリンパ系腫瘍の診療を中心に携わっています。「標準的治療」を基本としつつ、新しい治療の開発を含めていろいろな治療選択肢が提供できるようにこころがけています。

中枢神経系原発悪性リンパ腫の標準治療

中枢神経系(脳や脊髄)に限局して生じる悪性リンパ腫をPCNSLと呼びます。脳は保護機構があり通常の抗がん薬が浸透しづらいため、全身の悪性リンパ腫に対する治療は効きにくく、異なる治療方法が用いられます。近年は臨床試験も多く行われており、標準的に用いられる治療法を中心に解説します。

講演者

永根 基雄 先生

杏林大学医学部脳神経外科・教授
1984年に東京大学医学部卒業後、国立がん研究センター中央病院にて脳腫瘍の臨床・研究を研鑽。その後米国カリフォルニア州サンディエゴ市のルードイッヒ癌研究所へ留学し脳腫瘍の基礎研究に従事。2000年に現在の杏林大学医学部脳神経外科に赴任。同附属病院は多摩地区唯一の大学病院本院であり、悪性脳腫瘍に対する高度専門医療や多くの臨床試験、基礎研究を行っています。