胃がんQ&Aトークセッション

お申込みの皆さまから事前に寄せられた質問について、先生方に回答していただきます。

司会

中井美穂さん

中井 美穂(なかいみほ)さん

フリーアナウンサー・NPO法人キャンサーネットジャパン理事

1987年日本大学芸術学部を卒業後、フジテレビに入社。アナウンサーとして活躍し、「プロ野球ニュース」「平成教育委員会」など多くの番組に出演し人気をあつめる。 1995年フジテレビ退社。1997年から「世界陸上」(TBS)のメインキャスターを務める他、「タカラヅカ・カフェブレイク」(TOKYO MXテレビ)、「スジナシBLITZシアター」(TBS)などにレギュラー出演。 その他、イベントの司会、演劇コラムやクラシックコンサートのナビゲーター・朗読など幅広く活躍している。2013年より読売演劇大賞選考委員を務めている。 2002年腹膜炎を患ったことをきっかけにキャンサーネットジャパンに賛同し、ブルーリボンキャラバンなどのがん啓発のイベント・学会の司会、コーディネーターなどの活動をし、現在に至る。

回答者

平澤 俊明(ひらさわ としあき)先生

がん研有明病院 上部消化管内科副部長

小学生から大学までは、サッカーに明け暮れていた。1999年に高知医科大学医学部を卒業すると、聖路加国際病院で医師としての道を歩み始めた。そこでは、毎日のように吐血や下血の患者さんが救急外来に運ばれてきていた。緊急内視鏡でクリップによる止血を行うと、不安定な血圧が瞬時に改善した。研修医の自分は、強い衝撃を受け、自分も高い技術を持つ内視鏡医になろうと決めた。そして今、がん研有明病院で胃がんを克服するために、日々内視鏡を握っている。内視鏡室の運営はサッカーと同じチームプレーと思っている。医師以外にも、看護師、助手、事務員が一丸となって、安全で質の高い医療を提供しようと頑張っている。胃がんを内視鏡で切除する医師が、ゴールを決めるフォワードとすれば、そこまでボールを回してくれる看護師、助手、事務員はハーフやバックである。全員の協力がないとよい医療はできない。「チーム医療」、私が好きな言葉である。

布部 創也(ぬのべ そうや)先生

がん研有明病院 胃外科部長
私たちの時代は卒業と同時に入局する科を選びました。学生時代に各科の授業や簡単な臨床研修はありますが、なかなか具体的なイメージがないまま自分の進路を決めなければなりませんでした。当時の記憶は定かではないところもありますが、外科医になれば診断から手術まで行うことができ、更には抗がん剤も扱えると思っていたのでしょう。 実際外科医になってみると、そんなオールマイティーな外科医はなかなかおらず、研修医時代は術後管理と雑務に忙殺される日々が続きました。また、時代の流れとともに各分野の専門分化が進み、消化器外科のなかでも胃外科や大腸外科などと分かれてきました。かれこれ20年近く胃外科専門で手術治療の精度を上げることに心血を注いできましたが、本日発表いただいている各科の先生方と協力し、良好なコミュニケーションを確立することが患者さんにとって何よりも重要だと思うようになりました。1971年生まれ、人生100年時代のまさにターニングポイント。今まで培ってきたスキルや知識をリセットし、変化を受け入れながら常に前を向いて頑張っていきたいと思います。

山口 研成(やまぐち けんせい)先生

がん研有明病院 院長補佐 消化器化学療法科部長
子供のころ小児喘息に悩まされて、喘息を治すことを誓って医者になりました。それが人との出会いで、消化器内視鏡医をめざすことになって、いつの間にか気がついたら抗癌剤の専門家になっていました。消化器がんの化学療法に取り組んで、20年以上が経ちましたが、未だに薬を適切に使うことの難しさを感じております。新しい薬が出てきて、新しいバイオマーカーも出てきています。情報を経験とすりあわせて、患者さんが三年後、五年後に元気でいられるよう治療を組み立てていく、これが抗癌剤専門家・臨床腫瘍医の使命と肝に銘じています。また新しい治療を作ることや、薬の開発に携わることも大事な仕事です。でも、患者さんといのちについて話し合うことが多い領域で、ついついお酒の量が増えてしまっています。

馬城 はるか(まのしろ はるか)先生

がん研有明病院 リハビリテーション部主任
1999年より癌研究会附属病院(現:がん研有明病院)にてがんのリハビリテーションに従事しています。当初はがん分野で行われているリハビリテーションは少なく、当院でも骨軟部腫瘍や乳がんに対するリハビリテーションを中心に行っていました。2010年より「がんのリハビリテーション」という分類が制定され、がんの種類も病期も幅広く、がんと闘病されている方にリハビリテーションを行える時代になりました。当院でも2016年より胃切除症例に対して周術期のリハビリテーションを開始し、術前から術後、外来期まで関わる取り組みを行っています。外科治療中だけでなく、治療後に日常生活にスムーズに戻れるような予防や改善法など、その時の状態に合わせたサポートを行っています。